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群馬県の伊香保温泉に行ってきました 其の三 [日記]

二日目です
朝食を済ませた後、『榛名富士』に向かいました。

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榛名山は外輪山です。その外輪山の中の富士山に似た形の山を『榛名富士』といいます。外輪山の中の凹みに水が溜まったのが『榛名湖』です。

榛名富士へはロープウェイで登りました。

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麓のロープウェイ乗り場の海抜が千メートルを超えていますので、強い日差しの中でも吹く風は少し爽やかに感じました。
ロープウェイは秒速四メートルの速さで我々を運んでくれるので、あっという間に山頂です。

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ロープウェイを降りて、汗をかきかき少し登るとそこにはコンクリート製の『富士山神社』が祀られていました。

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富士山神社のHPより拝借しました


この日は水蒸気が多かったのか遠くの景色ははっきりとは拝めませんでしたが、上手くすると榛名富士からは東京スカイツリーが見えるのだそうです。

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汗ばみて榛名の富士の宮参り 粋田化石



再びロープウェイで下山して、次に榛名湖の遊覧船に乗りました。その名も『はくちょう丸二世号』です。

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遊覧船は音声ガイドが流れるので観光にはもってこいの乗り物です。途中、音声ガイドさんの歌う『湖畔の宿』(高峰三枝子、1940年)も流れてきました。『湖畔の宿』の湖畔は榛名湖だったのですね。

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水面を渡る涼しい風を顔に受けながら遊覧船の窓から眺める榛名富士もなかなかのものでした。


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涼風を通す窓より榛名富士 粋田化石



遊覧船の次は『榛名神社』へ参拝しました。

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榛名神社には千年以上の歴史があるそうです。参道脇に並ぶ杉の木も巨木ばかりでした。

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もしかしたら何百年も前の参拝客が触れたかもしれない木肌に触れてみました。ひんやりとしたその木肌から力を頂いたような気がしました。

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参道の所々には七福神の像が立っていて我々を迎えてくれました。



榛名宮水音近き木下闇 粋田化石



【 木下闇こしたやみ 】 木の下闇 下闇 青葉闇
夏の木々が鬱蒼と茂るさま。樹下は昼とは思えぬ暗さである。明るい場所から急に入る時など、特に暗く感じる。(角川合本俳句歳時記第四版)


手水舎付近からは瓶子の瀧(みすずのたき)も見えます。

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瓶子瀧真白き龍は天目指し 粋田化石




参拝の後は参道の脇にある店で昼食です。七人全員が同じ手打ち蕎麦と岩名の塩焼きを頂きました。それはもう大変美味しゅうございました。

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榛名神社参拝の後、湯ノ花まんじゅうを土産に買って帰路につきました。


群馬県の伊香保温泉に行ってきました 其の二 [日記]

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伊香保の街を散策した後はホテルに戻りゆっくりと温泉に浸かりました。それから夕食までの間は外に出て夕涼みです。ホテルの外には足湯も用意されていていました。湯上りに夕方の涼しい風に当たりながら頂くビールは格別に美味しかったです。
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褄取りて麦酒右手に足湯かな 粋田化石



つま‐どり【×褄取り】
[1] 着物の褄を手でつまんで持ち上げること。
[2] 相撲のきまり手の一。相手の足首またはつま先を取って後ろに引き上げて、前に手をつかせる技。出し投げから横に付いての変化技であることが多い。
[3] 「褄取威(おどし)」の略。
(大辞泉第二版)

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空を見ると赤くて真ん丸の月が出ていました。旅先で眺める満月というのもなかなか良いものです。


湯煙に霞む伊香保の夏の月 粋田化石



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夕食は、急に参加できなくなった同級生に同情しつつも和気藹々と楽しいひと時でした。

夕食の後は有志四人で近所にあるカラオケスナックへ。

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射的場で射的の指南をしていた某同級生は、選曲も歌い方もとても御立派です。彼はこれまでの人生でこういう店に一体幾らくらい投資してきたのでしょうか。
粋田化石といえば“サンプラザ中野”風に叫び声を上げながらストレスを吹き飛ばしてきました。


歌選ぶ校友宿の浴衣かな 粋田化石




続く






群馬県の伊香保温泉に行ってきました。 [日記]

七月八日・九日、今年満七十歳になった高校時代の恩師と群馬県の伊香保温泉に行ってきました。先生のお供は元生徒五人と元生徒の妻が一人の六人で、都合七人の道中でした。出発の前日に、参加予定の一人が自動車の追突事故に巻き込まれたために急遽欠席となり、その代理として元生徒の妻一人が参加となりました。実は伊香保温泉にあるホテルで同級生(元生徒の一人)が働いていて、伊香保温泉でのミニクラス会は今回で二回目の企画でした。七人乗りの自動車に七人乗るとかなり狭苦しいので私だけオートバイで行こうかと一瞬思ったのですが、結局は七人が一代の自動車で行きました。ぎゅうぎゅう詰めでも楽しい道中でした。

途中立ち寄った「渋川スカイランドパーク」という遊園地では、『白い貴婦人』と呼ばれている『西洋紫陽花アナベル』が満開でした。白い紫陽花は一見すると清楚なようですが、私には白さの中に熱い意思や情熱が秘められているように感じました。因みに紫陽花は渋川市の花だそうです

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鬱勃と白紫陽花の熱き息 粋田化石



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うつ‐ぼつ【鬱勃】
[ト・タル][文][形動タリ]内にこもっていた意気が高まって外にあふれ出ようとするさま。また、意気が盛んなさま。「―たる闘志」(大辞泉第二版)


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「渋川スカイランドパーク」では観覧車に乗りました。決して大きな観覧車ではないのですが、山の上に設置されているので大変に眺めの良い観覧車でした。

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ホテルには比較的早めに着いたので、有名な石段を散策したり温泉場には付きものの射的をしたりして過ごしました。
七十歳の恩師はとても元気でした。相変わらずせっかちで負けず嫌いな先生は坂道でも石段でも常に先頭を歩くので、私が撮影した先生の写真は後姿ばかりです。

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石段や西日に弾む恩師の背 粋田化石



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伊香保温泉の石段は全部で365段あります。途中途中に現在の段数を示すプレートが貼ってありました。

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射的の写真の二人は夫婦ではなく同級生です。向かって左の男が同級生の女性に射的の指導をしているところです。幾つになっても女性にだけは親切な男性があなたの身近にもいませんか。

微酔いが浴衣開けて射的かな 粋田化石



はだ・ける【▽開ける】
[動カ下一][文]はだ・く[カ下二]
[1] 手や足を大きく広げる。また、目・口などを大きくあける。
「指の股を思い存分―・けた両手で」〈有島・星座〉
[2] 衣服の前などを広げる。「胸を―・ける」
「火鉢の炭を―・けて」〈風葉・青春〉
[3] 衣服の前などが乱れてひらく。はだかる。「裾が―・ける」(大辞泉第二版)


続く






つなこさんから俳句が届きました六月十一日 [日記]

つなこさんから句が届きました。

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色々の色々な顔紫陽花や つなこ



粋田化石は国語も苦手なのでよくわかりませんが、「色々の色々な顔」こういう表現を何と呼ぶのでしょうか。
咲き誇っている時の紫陽花は本当に綺麗です。

【 紫陽花 あぢさゐ 】  四葩 よひら   七変化 しちへんげ   (季夏)
ユキノシタ科の落葉低木の花。高さ一・五~二メートル。 額がく 紫陽花を原形とする日本原産種といわれる。「四葩」の名は、花びらのように見える四枚の 萼がく の中心に細かい粒のような花をつけることから。花色は酸性土では青、アルカリ性土では赤紫色を呈する。咲き始めは白で、しだいに色が変化することから「七変化」ともいう。「紫陽花に秋冷いたる信濃かな 杉田久女」は、秋になっても美しく咲き残っている紫陽花を詠んだもの。↓額の花(角川合本俳句歳時記第四版)


さて、六月十日落語会に行ってきました。
その名も、第四十三回 大手町落語会 ~ザ・柳家!Ⅶ~
会場は東京の大手町にある日経ホールです。

番 組

飲める』 入船亭小辰(二ツ目)
「一杯飲める」が口癖の男と、「つまらねぇ」が口癖の男の二人が、その口癖を言った場合お互いに一円ずつ取るという定式(きめしき:仲間内で決めた決まり事)を作る。相手になんとか口癖を言わせようとする二人だが・・・

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元犬』 柳家三三
差し毛の混ざらない純白の犬は珍しくて人間に近いという。人間から「お前はきっと来世には人間に生まれ変われる。」と言われていた純白の犬が、来世ではなく今生に人間に生まれ変わりたいと八幡様に三七、二十一日間の願掛けをする。さて、満願の日に人間になることが出来た白犬がご隠居の家で働き始めるが・・・。


たち切り』 柳家權太樓
放蕩三昧の若旦那が親族会議の結果百日間の蔵住まいを命ぜられる。その若旦那が蔵住まいをさせられているとは知らずにいる芸者の小糸。小糸は毎日何通も若旦那の元に手紙を届けるが、八十日目に手紙は届かなくなってしまう。百日経ち蔵を出た若旦那が小糸から届いた最後の手紙を読み置屋(おきや)に行くと・・・
線香が燃えた数で芸者の玉代(ぎょくだい)を計算していたそうです。『たち切り』はその線香が燃え尽きることです。

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‐仲 入 り‐

花筏 はないかだ』 柳亭市馬
提灯屋の六兵衛さんの元に相撲の親方が訪ねてくる。聞けば、茨城での相撲の興行を請け負ったのだが肝心の大関花筏(はないかだ)が病気になってしまった。先方は花筏が目当てなので連れて行かないわけにはいかない。そこで花筏と顔も体格もそっくりな六兵衛さんに花筏の替え玉になってもらいたいという。一日に二分(にぶ)の手当と、相撲は取らないで土俵下に座っているだけでいいという条件で相撲興行に乗り込むことになった六兵衛さん。しかし、千秋楽の日に地元の素人相撲の猛者である“千鳥ヶ淵大五郎”との取り組みを組まれてしまった・・・


寝床』 柳家さん喬
義太夫(ぎだゆう)に凝っている商家の旦那、その義太夫を誰かに聞かせたくってしょうがない。ある日義太夫の会を開くことになり自分が大家(≒家主いえぬし)を務める長屋の住人に声を掛けるが、旦那の義太夫を聞きたくない住人達はあれやこれや理由をつけて誰一人来られないという。それならばと、お店(たな)の奉公人達に聞かせようとするがやはり誰一人会には出られない。怒った旦那は「店立て(たなだて:家主が借家人を追い出すこと)だーっ。」と言ってふて寝をしてしまう。そこで、気を利かせたお店の番頭が長屋の住人たちを義太夫の会に呼び旦那を煽(おだ)てて何とか義太夫の会を始めるが・・・

入船亭小辰さんの大師匠(師匠の師匠)は九代目入船亭扇橋師匠。扇橋師匠は三代目桂三木助師匠の弟子でしたが、三木助師匠亡き後五代目柳家小さんの門下に入りました。そういう理由で“入船亭”は“柳家”なのです。

粗筋を詳しくお知りになりたい方のために題名にリンクを張ってあります。


落語会アロハ揺さぶるビルの風 粋田化石



十日は暑くなると聞いていたのでアロハシャツを着て落語会に行きました。

【 夏シャツ なつシャツ 】 白シャツ  開襟 かいきん シャツ アロハシャツ クレープシャツ (季夏)
涼しげな生地や色合いのシャツ。開襟シャツのように胸を開ける工夫がなされている。(角川合本俳句歳時記第四版)

画像は全てフリー素材です






贅沢な落語会 [日記]

『大手町落語会 ザ・さん喬 其の三』という落語会に行ってきました。会場は東京の大手町にある「よみうり大手町ホール」。出演は柳家さん喬師匠一人です。さん喬師匠一人で四席演じてくれるという贅沢な落語会です。
演目は以下の通りです。粗筋を書くと長くなりますので題名にリンクを張ってあります。ご興味のある方はそちらをご覧ください。

番 組

柳 家 さ ん 喬

愛宕山

船徳

仲 入 り

鹿政談

芝浜


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麦酒飲み落語聞いてる果報かな 粋田化石


麦酒は夏の季語です。
落語会へは少し早めに行き、ビールを飲み食事をしてから落語を聴きました。
休日の昼間にビールを飲んで落語を聴くという、とても贅沢な時間を過ごしてきました。

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夕焼やこの町の空見直さん 粋田化石


落語会のあった東京からは高速バスで帰ってきました。夕方バスを降りて空を見上げると空は夕焼けでした。その夕焼け空がなかなか美しくて、我が町の空もまんざらではないと思いました。
夕焼けは夏の季語です。


【 麦酒 ビール 】 ビール 黒ビール 生ビール 地ビール ビヤホール ビヤガーデン 缶ビール (季夏)
麦芽を主原料として醸造されたアルコール飲料で、炭酸ガスを含んでいる。四季を問わず飲まれるが、特に夏には冷たさが好まれ、ビヤホールなどがにぎわう。(角川合本俳句歳時記第四版)

【 夕焼 ゆふやけ 】  夕焼(ゆやけ)  夕焼雲 夕焼空 (季夏)
日が沈む前に西空の地平線に近い部分から燃えるような紅色を現すことがある。四季を通じて見られるが単に夕焼といえば夏の季語である。翌日は晴天になることが多い。↓春夕焼(春) ・ 秋の夕焼(秋) ・ 冬の夕焼(冬) (角川合本俳句歳時記第四版)






落語会に行ってきました [日記]

四月二十二日(土)
東京のお大手町「日経ホール」に第四十二回『大手町落語会』を聞きに行ってきました。演者と演目は以下の通りです。

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画像はフリー素材です

柳家小はぜ 『浮世根問(うきよねどい)』
【あらすじ】知らないことはないという隠居のところに、八五郎がやって来て、「がんもどきの裏表は?」をはじめとして、次々に質問をしていく。「婚礼のことを、よく嫁入りと言いますが、女が来るんだから、女入りとか娘入りと言うべきだ」と言うと、「それは男の方に目が二つ、女の方に目が二つ。それを合わせて『四目入り』だ」。「鶴は千年亀は万年と言うけれど、鶴亀が死んだらどこへ行くんです?」「めでたいものだから極楽へ行く」「極楽てぇのはどこにあるんで?」「地獄の隣だ」「地獄はどこにあるんで?」と質問が続くので、隠居は「極楽はここだ」と仏壇を見せる。「死ぬと、ここへ行けるんですか?じゃあ鶴亀も極楽へ行って仏になれますか?」「ああいうものは畜生だから仏にはなれない」「何になるんです?」「この通りロウソク立てになる」。(古典・新作 落語事典,滝口雅仁,平成二十八年,丸善出版株式会社)

落ちがよく分からないですね。私は見たことがありませんが、亀の背中に鶴が乗りその鶴にロウソクを立てる燭台があったのだそうです。


柳亭市馬(四代目) 『蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)』
【あらすじ】上州安中でこんにゃく屋を営んでいる六兵衛のところで厄介になっている八五郎が、遊んでばかりもいられないからと寺の和尚になった。ところが経を読める訳でもなく、日がな一日、寺男の権助を相手に酒ばかり飲んでいる。そんあある日、越前国永平寺の沙弥托善(しゃみたくぜん)という諸国行脚雲水の僧が、禅問答を申し込んできた。八五郎に問答なんかできる訳がなく、夜逃げをしようと相談しているところへ現れたのはこんにゃく屋の六兵衛で、ならば自分が和尚になって問答の相手をしてやろうと言い出した。翌日、托善がやって来て、色々と問いかけるが、六兵衛は黙っているばかりなので、これは無言の行中と判断し、托善がまず両の手の人差し指と親指で丸をこしらえて前に突き出した。すると六兵衛はそれを見て、両の手で大きな丸を描くように頭の上にかざすと、托善は平伏。次に開いた両の手を前に突き出すと、六兵衛は片手を広げて出してみせて、それを見て、またも平伏。最後に指を三本出すと、六兵衛は人差し指を目の下にあてた。托善はとてもかなわない相手と言って逃げ出そうとするので、托善に尋ねると「大和尚のご胸中はと尋ねましたところ、大海の如しというお答え。十万世界はと聞けば、五戒で保つ。最後に三尊の弥陀(みだ)はと問えば、目の下にありとのお答え」と言って出た行った。片や六兵衛は大層怒っているので、話を聞くと、「あいつは乞食坊主だ。俺の商売を知ってやがって、お前んとこのコンニャクはこんなに小さいだろうと言うから、こんなに大きいやって答えたら、十丁で幾らだ?って値を聞いてきやがった。五百だって答えたら三百に負けろって値切りやがったから、アカンベー」。(古典・新作 落語事典,滝口雅仁,平成二十八年,丸善出版株式会社)

こんにゃく屋の六兵衛は江戸では親分と言われるくらいの人だったが、上州安中でこんにゃく屋をやっています。この落語は仕草が落ちになっていますので、生あるいは映像で見ていただきたい話しです。
今回は美声の落語家柳亭市馬師匠が、肩ひじを張らずにさらりと演じて見せてくれました。


柳家さん喬 『井戸の茶碗(いどのちゃわん)』
【あらすじ】麻布の谷町に暮らす正直者で知られる屑屋の清兵衛がある裏長屋を通りかかると、千代田卜斎(ちよだぼくさい)という浪人から屑の他に仏像を引き取ってくれと言われたので二百文で買い取る。仏像を笊(ざる)の中に入れ、白金の細川家の窓下を通ると、高木作左衛門(たかぎさくざえもん)という侍が目を止め、大層気に入ったので三百文で買い求める。作左衛門が仏像を磨いていると、台座がはがれて中から五十両の小判が出てきた。作左衛門は屑屋が再びやって来るのを待ち受け、訳を話して五十両を相手方に返すように言うので、屑屋が卜斎のもとを訪ねると、卜斎は一度手放した物は自分のものではないと言って頑として受け付けない。困った清兵衛が家主に相談をすると、卜斎に二十両、作左衛門に二十両、間に入った清兵衛に十両という案を出してきた。ところが卜斎がそれでも受け取らないので、何かを作左衛門に差し上げたらいいと提案をすると、卜斎はいつも茶を飲んでいる薄汚い茶碗を作左衛門に渡すことにする。正直者同士の話を聞いて感心した細川の殿様が茶碗を見てみたいと言うので、茶碗を磨いて差し出すと、それは井戸の茶碗という名器であることが分かり、作左衛門から三百両で買い上げた。困った作左衛門は屑屋を呼んで、先例にならい半分の百五十両を卜斎に渡して来いというが、やはり卜斎は受け取らない。だが、作左衛門が独り身であるなら、娘を嫁に差し上げたいと言う。それを聞いた作左衛門は卜斎の娘であれば間違いないと、嫁にもらうことにする。それを聞いた屑屋が安心をして「今は汚い身なりをしていますが、あれで磨いてごらんなさい。たいした美人になりますよ」「いや、磨くのはよそう。また小判が出るといけない」。(古典・新作 落語事典,滝口雅仁,平成二十八年,丸善出版株式会社)

三人の正直者が主な登場人物です。途中はハラハラドキドキさせられますが、何回聞いても聞き終った後にとても爽やかで良い気持ちになります。ただし、それは井戸の茶碗を演じる力量のある落語家が演ずる井戸の茶碗でなければなりません。


桂文治(十一代目) 『平林(ひらばやし)』
【あらすじ】小僧の定吉が主人から、平林さんの家に手紙を届けるように言われる。どこへ行くのか忘れないように「ヒラバヤシさん」と口の中で唱えて出掛けたが、夢中で歩いているうちに途中で巡査に呼び止められ、「道は青歩きの赤止まりだ、言ってみろ」と言われ、それを繰り返しているうちに名前を忘れてしまう。そこで歩いている人に宛名を読んでもらうと、「タイラバヤシ」と読んだり、「ヒラリン」と読んだりする。どうも違うように思うので、また尋ねると、今度は字を崩して「イチ(一)ハチ(八)ジュウ(十)のモクモク(林)」、さらには「一つに八つにトッキッキ」と読まれてしまう。定吉は仕方ないので、「タイラバヤシかヒラリンか、イチハチジュウのモクモク、一つに八つにトッキッキ~」と声を張り上げながら歩いていると、知り合いが声を掛けて、「気でも違ったのか?」「いいえ、字が違うんです」。(古典・新作 落語事典,滝口雅仁,平成二十八年,丸善出版株式会社)

小僧の定吉は無筆という設定です。ただ、ヒラバヤシという名前を覚えられない定吉が「タイラバヤシかヒラリンか、イチハチジュウのモクモク、一つに八つにトッキッキ~」は覚えていて、声を張り上げながら歩くという設定に無理があります。


柳家權太樓(三代目) 『唐茄子屋政談(とうなすやせいだん)』
【あらすじ】若旦那の徳三郎は道楽が過ぎて勘当になってしまう。頼りにしていた吉原の女や知り合いのところからも追い出され、飲まず食わずで過ごしているのも辛くなり、吾妻橋(あづまばし)から身を投げようとしたところを、通りかかった伯父に助けられる。伯父は徳三郎の性根を叩き直すべく、翌日から唐茄子の荷商いをさせることにする。慣れない天秤棒を担いで歩いていると、真夏の炎天下のことで道端で倒れ込んでしまうが、おせっかいな男が顔見知りに声を掛けては、二つだけ残して唐茄子を売り捌いてくれた。気を良くした若旦那は吉原田圃(たんぼ)までやって来ると、売り声も出るようになったので、そのまま誓願寺店(せいがんじだな)までやってくると、一人の女性から唐茄子を一つ売ってくれと声を掛けられた。若旦那が一つおまけして、弁当をつかおうとすると、奥から出て来たその家の子どもが弁当を欲しがった。事情を聞くと、浪人をしている夫が行方知れずで、もう二日も子どもにご飯を食べさせていないという。食べられないことの辛さを知っている若旦那は弁当と唐茄子の売り上げを置いて飛び出してしまう。伯父の家に帰って来た若旦那は、今日あったことを告げるが、伯父は信用をせずに誓願寺店までやって来る。すると長屋では浪人者の女房が首をくくったと大騒ぎになっていた。なんでも若旦那が置いて行った財布を返そうと、外に出たところで因業大家に出くわして取り上げられてしまったので、若旦那に申し訳ないと首をくくったというのだ。それを知った若旦那は大家の家に飛び込む。女房は発見が早く、手当も良かったと見えて助かり、大家はきついお咎めを受け、若旦那の勘当も許される。(古典・新作 落語事典,滝口雅仁,平成二十八年,丸善出版株式会社)

唐茄子というのはカボチャのことです。
長い話しなので終いまで演じない方もいらっしゃいます。今回、柳家權太樓師匠は最後まで演じてくれました。大熱演に粋田化石の目もウルウル、聞きほれてしまいました。

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画像はフリー素材です



大爆笑の渦の中、後ろの席からは鼾(いびき)が聞こえてきました。深き春の落語会らしい光景でした。


春深き落語の会に鼾かな 粋田化石


【 春深し はるふかし 】  春はる 闌た く  春はる 更ふ く (季春)
桜も散って、風物の様子にどことなく春も盛りを過ぎたと感じられるころをいう。
(角川合本俳句歳時記第四版)


あと一歩 [日記]

昨日は千葉県知事選挙の投票日でした。

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投票日だというのに一日冷たい雨が降る生憎の天気。気になる投票率は31.18%だったそうです。皆様無関心すぎですゾ。

粋田化石は仕事に行く前に投票をすませました。
その後とある場所にあるソメイヨシノの木を見ると、蕾が膨らんで開花まであと一歩という感じでしたので、選挙でよく聞く「あと一歩」に引っ掛けて句を詠みました。

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あと一歩花も間近な投票日 粋田化石



しかし、開票の結果は現職知事の圧勝であり、落選してしまった三名の方は「あと一歩」でもなかったようでした。



本日三月二十七日も朝から雨と思いきや、雨が霙(みぞれ)に変わり短い時間ですが雪になりました。
こういうのを『名残の雪』というのでしょうか。素敵な言葉ですね。

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うっすらと身の程を知る雪の果 粋田化石



名残の雪は歌の文句であれば絵になりますが、実際には寒くて寒くて困りました。



夕方雨も上がり夕焼の中を職場に戻ると、三月いっぱいで退職する若者が机を片付けていました。勤務は今日が最後だったのですね。
丁度名残の雪、別れ雪が降った日に職場を去っていく若者でした。


君の首途見送る空の春夕焼け 粋田化石




【雪の果 ゆきのはて】 名残なごりの雪ゆき 雪の別れ 別れ雪 忘れ雪 涅槃雪 (季春)
涅槃会(ねはんえ)(旧暦二月十五日)前後に降る雪が雪の終りといわれるが、実際にはそれ以降になることもある。名残の雪・雪の別れ・別れ雪は、いずれも最後の雪に心を寄せたことばである。
[角川 合本俳句歳時記 第四版]

しゅと【首途】
1旅に出ること。旅立ち。かどで。「―を見送る」
2 物事が始まること。また、始めること。かどで。「新生活の―を祝する」
[大辞泉第二版]

【春夕焼 はるゆふやけ】 春夕焼はるゆやけ 春の夕焼 (季春)
単に夕焼といえば夏の季語であるが、四季それぞれに夕焼は見られる。春の夕焼は人を包むような柔らかさを感じさせる。
[角川 合本俳句歳時記 第四版]

落語会三月二十一日 [日記]

東京の霞が関というところにあるイイノホールに落語を聴きに行ってきました。

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落語を聴く前に腹ごしらえです。

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さて、本日は三遊亭白鳥と柳家喬太郎の二人会。出演も当然この二人です。

演目は


粗忽の使者 柳家喬太郎

落語の仮面第五話(新作) 三遊亭白鳥

中入り

老人前座(新作) 三遊亭白鳥

おせつ徳三郎-花見小僧・刀屋 柳家喬太郎

です。

粋田化石は柳家喬太郎の粗忽の使者を聴いているときに、不覚にもうとうとしてしまいました。腹ごしらえのせいでしょうか、朝から降っている雨のせいでしょうか。


春雨の降れば眠たし落語会 粋田化石



次回は四月二十二日に落語会に行く予定です。居眠りしないようにしましょう。




彼岸 [日記]

昨年他界した父は神道(しんとう)を信仰していましたので、葬儀は神式でした。春分の日の今日は、春季御霊祭(みたままつり)という合同慰霊祭があり参列してきました。天候にも恵まれましたので大変に心地よく、先生の有難いお説教が子守唄のように聞こえてきました。

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画像はフリー素材です



説教を聞けばうとうと彼岸かな 粋田化石





良い天気の中、田圃ではトラクターが働いていました。田植えの準備が始まったようです。

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田の支度幕開け見つむ鼓草 粋田化石





せっきょう【説教】‐ケウ
1 宗教の教義・教典を、信者などに、口頭で説き明かすこと。また、その話。「牧師が礼拝で―する」
2 教え導くために言い聞かせること。また、堅苦しい教訓をいう語。「親に―される」
[大辞泉第二版]

【彼岸 ひがん】 お彼岸 入彼岸 彼岸過 (季春)
春分の日を中日とする前後三日の七日間。単に彼岸といえば春の彼岸をさす。寺では彼岸会を修し、先祖の墓参りをする。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、このころから春暖の気が定まる。
【蒲公英 たんぽぽ】 鼓草 蒲公英たんぽぽの絮わた (季春)
キク科の多年草。道端・土手などで普通に見られる。蝦夷蒲公英・関東蒲公英・関西蒲公英などの在来種が各地に分布するが、いずれも帰化した西洋蒲公英に圧倒されている。三~五月ごろ黄色・白色の頭花が花茎に一つつく。花のあと形成される絮が風に飛んでいくさまは詩情をかきたてる。
[角川 合本俳句歳時記 第四版]

南房総千倉へ行ってきました [日記]

三月十八日(土)に千葉県の南房総千倉へ行ってきました。
千倉は、三十三年前から二十五年前まで私が過ごした町です。現在は南房総市千倉町ですが、当時は安房(あわ)郡千倉町でした。
千倉では、当時仕事上の付き合いがあった方たち五人と旧交を温めてきました。
気持ちだけは三十云年前に戻り、あんなこと・こんなこと等時間を忘れて話しました。

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翻車魚


「そういえば、当時は“翻車魚(まんぼう)”を食べたな~。」と思い出話をしていると、それを聞いていた店の人が言いました。「今日はまんぼうあるよ。」。勿論たべました。まんぼうは地元の人でも年がら年中食せる魚ではないので、私は本当にラッキーでした。

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民宿


お約束のカラオケ大会が終わり海の傍の民宿に戻ったのが午前一時少し前。後はただ眠るだけです。
朝、空が白み始めるころに目が覚めました。海の近くの民宿なので濤声(とうせい)が聞こえます。波の音を聞きながら起きるのも良いものだと思っていると、時折波音に混ざり鶯の囀(さえず)りが聞こえてきます。二日酔いも無く、実に爽やかな朝を迎えることが出来ました。


濤声に鶯混じる朝かな 粋田化石



朝食を頂いた後は千葉県最南端の町白浜へ行き、そこでも知人に会ってきました。その人も仕事でお世話になった方ですが、実は一昨年北海道ニッポンハムファイターズに入団した加藤投手のお父様でもあります。

県指定有形文化財“めがね橋”(明治二十一年竣工)。
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めがね橋


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金盞花


千倉から白浜にかけては花摘みを楽しめる場所が沢山あります。三月といっても下旬が近いのでそろそろ花摘みの季節も終わりのようでしたが、金盞花(きんせんか)・ポピー・ストック・菜の花を見ることが出来ました。

花菜の香.JPG
菜の花



ぶんぶんと羽音も近き花菜かな 粋田化石




とうせい【濤声】タウ-
波の音。
「怒り哮(たけ)る相模灘の―」〈蘆花・不如帰〉

あした【朝】
1 夜の明けるころ。あさ。⇔夕べ。
「吾を呼び醒ませし―の使は彼なりけるよと」〈蘆花・不如帰〉
2 次の日の朝。翌朝。
「野分(のわき)の―こそをかしけれ」〈徒然・一九〉
【大辞泉第二版】

【菜の花 なのはな】 花菜はなな 菜種の花 油菜あぶらなの花 花菜雨 花菜風 (季語春
アブラナ科の越年草の油菜の花。日本で古くから栽培されていたのは油菜であるが、現在では西洋油菜にほとんどが取って代わられた。菜種は秋に種を蒔くと翌春、薹が立ち先端に黄色い十字花をつける。以前は種子から菜種油を採るために菜の花を栽培したが、近年は激減した。
[角川 合本俳句歳時記 第四版]